オゾン層は、空の高いところで地球全体を包み込んでいる、大気の保護膜の一つです。
しかし今、そのオゾン層が壊され、オゾンホールが出来てしまっている地域もあります。オゾン層がダメージをうけるとどんなことが起こるのでしょうか?
地球の周囲を取り巻く大気の中で私たちが暮す対流圏の上にある成層圏の中に、オゾンで出来た大気の層があります。
オゾン層には、太陽からの有害な紫外線を吸収する性質があり、太陽から放出される有害な紫外線のほとんどがここで防がれています。特に皮膚の細胞を壊して炎症を起こしたり、がん細胞を作り出してしまう可能性のあるC波を防ぐ大切な役割りがあります。
また、B波は正常のオゾン層でも一部分が地上に届いてきます。若干量のB波は、人体でカルシウムを作るときにも不可欠なものですが、長時間照射されると炎症を起こします。
成層圏の中の酸素分子が太陽からの紫外線によって光分解して酸素原子になり、これが周囲の酸素分子と結合してオゾンになります。特に、紫外線の中でも特に人体や生物に有害である波長の短いB波C波を吸収して分解・結合を繰り返しているため、オゾン層より下の対流圏には、波長の長いA波とB波の中の一部分しか届きません。
オゾン層が薄くなっているとよりB波を遮ることが出来ないため、皮膚に炎症を起こすB波が寄り多く地上にまで降り注ぎます。また、オゾンホールが出来てしまった地域では、これまでは地上にまでは届くことの無かったC波までもが影響を及ぼしてしまうのです。
人間が作り出した物質の中でも、フロンやハロンを始めとするオゾン層を分解・破壊してしまう性質を持つものをオゾン層破壊物質といいます。
用途 | 特徴 | |
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フロン・特定フロン | 冷却・発砲・洗浄など | 安定した物質で、オゾンを分解する性質がある。温暖化係数は二酸化炭素の100~10000倍。 |
トリクロロエタン (有機塩素化合物) |
半導体の洗浄・香料の抽出など | 脱脂力が強く発がん性があるといわれる。分解しにくい性質があり、海洋汚染物質としても規制対象になっている。 |
四塩化炭素 | 冷却・脱脂剤・フロンの精製など | 特定フロンの原料となる物質のひとつで、発がん性がある。生き物の中枢神経に影響を及ぼす。 |
ハロン・特定ハロン (ハロゲン化合物) |
冷却・発砲・洗浄など | フロンと同じように安定した物質で、オゾンを分解する性質があり、温暖化係数も高い。 |
成層圏の中では、紫外線と酸素の反応が常に起こっており、地球を守るオゾンを作り出しています。しかし、オゾン層破壊物質であるフロンやハロン類が放出されると、これらも紫外線と反応して塩素原子になります。塩素原子には、オゾンを酸素原子に分解してしまう性質があるのですが、この時で来た酸素原子と反応して、また塩素原子を生み出してしまうのです。
こうして、大気中に放出されたオゾン層破壊物質はオゾン層内で分解し続けてしまうのです。また、オゾン層では大気と紫外線の光反応によってオゾンが作られますが、それとは違った紫外線がオゾン層破壊物質と反応し、オゾンを分解してしまうのです。
1985年に国連環境計画を元に、オゾン層の保護を目的として決められたウィーン条約と、その原因物質の特定や規制を行うために発行されたのがモントリオール議定書です。正式には、オゾン層保護に関するウィーン条約とオゾン層保護を破壊する物質に関するモントリオール議定書といいます。これによって、世界各国では、特定フロンを含む数種類の物質に対しての製造や使用の禁止が定められています。
しかし、この条約や議定書では温暖化に重点を置いていないため、温暖化係数の高い物質が規制されていない場合もあります。また、先進諸国ではほとんど生産も使用も禁止されていますが、途上国では使用が認められているのも過大となっています。
フロン自体は、自然に分解されることがほとんど無いため、一度放出されてしまうと、オゾン層まで届き破壊してししまします。そのため、モントリオール議定書に基づき、日本国内では、リサイクルや回収・破壊の決まりが定められています。
最近、リサイクル法などで以前より廃品回収にお金がかかることが多くなりました。これは、専門の回収業者が、フロンガス探知機や回収器を使い、きちんと回収・処理することで、家電製品や車、雑貨が老朽化してフロンガスが漏れ出したり不法に処理されることを防ぐことを目的としています。