プランクトンが異常発生することで、水が赤く染まったように見えるため赤潮と呼ばれるようになりました。気象の変化や火山活動など、様々な環境の変化によって発生するもので、日本周辺では平安時代にも発生していたことが記録として残っています。
しかし、近年では環境汚染や温暖化の影響により発生する事も多くなっています。この現象が発生している海域を上空から見ると、筋のようになっている事もあります。しかもこの筋は、発生具合によって宇宙からも見える場合があります。
赤潮は、植物性のプランクトンの異常発生によって起こります。植物性プランクトンは植物の中間ですから、太陽の光と水、栄養分が豊富な場所では活発に増えていきます。
プランクトンが好む栄養素は、海や湖に流れ込む川からもたらされます。川の水には、ミネラルや様々な栄養素が豊富に含まれているため、自然状態の赤潮は栄養が豊富に流れ込む河口付近や、流れの滞っている場所に栄養分がたまって発生します。また、筋状に赤潮が発生して見えるのは、海の海流に乗って栄養分とプランクトンがちらばっていくためです。
工場排水や下水などが河川に流れされ、そのまま海へ流れ込むと自然状態ではありえないほどのプランクトンが異常発生することがあります。そのため、工場などがある地域の下流では赤潮が発生しやすく、以前から社会問題にもなっていました。
しかし、近年ではこういった環境汚染に加え、地球全体の海流が弱まっていたり、温暖化が進んで頻繁にプランクトンが異常発生するため、海中の酸素が不足して海の生態系のバランスが崩れてしまっていることが大きな問題になっています。
発生するプランクトンには様々な種類があり、真っ赤に染まって見える事もあれば黄色に近いようなオレンジ色だったり、こげ茶色にもみえることがあります。発光中と呼ばれる渦鞭毛藻類のプランクトンが発生すると、夜くらい場所で水面を叩いたり、船が通るなどして刺激が加わると、その部分が青白い光を放ちます。この様子は大変神秘的ですが、養殖にも大きなダメージがあるため、漁業関係者には嬉しくない光景といえます。
赤潮が赤く見えるプランクトンの現象であるのと反対に、プランクトンによって水が青く見える状態を「青潮」といいます。青白く見える原因は、大量発生したプランクトンのしがいが海底で分解されるときに大量の酸素を使うため酸欠状態になった海水が引き上げられるためです。
海面付近で発生した強い風によって酸素の少ない海水が水面まで引っ張り上げられると、赤潮同様魚が生息する水深・海域に酸素が足りなくなり漁業に大きなダメージを与えます。
プランクトンが異常発生した赤潮の後に起こることが多く、日本では東京湾のアサリが青潮によって減少した例などが有名です。
プランクトンが発生している水域では、プランクトンが大量に酸素を消費してしまうため、酸欠状態になり、他の生き物や魚が生息できなくなってしまいます。そのため、赤潮が発生すると、漁獲高が激減したり、魚が全く取れなくなる場合もあります。
また、養殖場付近で赤潮が発生すると、養殖されている魚介類は大きなダメージを受け、対策が取れない場合には何年にもわたりダメージを受ける事もあります。そのため、プランクトンの種類や発生状況を知るためのメールサービスなどが行われている自治体も増えています。
気候や気温の変化で自然に起こるプランクトンの異常発生を、人為的に解消させる有効的な手段というものは、現在の所ほとんどありません。しかし、環境汚染や森林伐採によって土砂崩れが起きたり、排水が一気に河川に流れ込むといったことに対する対策はできるはずです。そのため、赤潮が発生しやすい地域を観測し、工場や家庭からの排水・下水設備を整えていくといった手段がとられています。
また、周辺に元々生息しているプランクトンの種類を調査し、発生の予測をしている地域もあります。しかし、このまま温暖化が進むと次々に赤潮が発生する可能性もあるため、温暖化防止への対策も重要な課題となっています。