日本では、和紙を使った再生紙作りがおよそ1000年以上も前から行われています。さらに現在でも、日本の古紙回収率は世界の中でも大変高く、回収された古紙を限界まで使い続けると、始めの100%状態から70%は古紙として使用することができるといわれています。
長い歴史の中で培われてきた「もったいない文化」は現代から未来へと受け継がれていくわが国が誇れる文化といえますね。
地球環境に優しい、というイメージがありますが、古紙が少しでも入っていれば「再生紙」と呼ぶことができます。そのため、紙を再利用してつくられている、といってもその中にどれだけ古紙がリサイクルされて使われているかわかりにくいのです。そこで、印刷用紙として作られたリサイクルペーパーには50%以上、PPCやフォーム用紙に使われるリサイクルペーパーには70%以上の古紙を含んでいるものにエコマークをつけることが出来るという基準が定義されています。
古紙を再利用することで環境に優しいリサイクルペーパーとして推進されてきた古紙ですが、地球温暖化という面から見ると難しい問題点があるようです。 100%古紙を使った再生紙を作る場合、リサイクルするときに排出される二酸化炭素の量は、新しいパルプを作るときに排出される二酸化炭素の量より多いといわれています。この考えには、リサイクルを行う場合の工程数の違いにより、二酸化炭素排出量が増えてしまう、コストがかかってしまうなどといった点があるようです。しかし、森林伐採による炭素の吸収源が削減されることや紙を乾燥するときに使われる物質による温室効果ガスの量などの計算方法の定義が再生紙とバージンパルプとでは条件が変わってくることなどの問題点があります。
再生紙=環境に優しいというイメージが強くなっていたため、個人や企業団体の間でもイメージアップとして”再生紙”の利用が推進されてきました。しかし、実際に100%古紙の再生紙には、エネルギーやコストがかかり質も落ちてしまうことから、古紙の割合を偽装した再生紙が作られるという事態にもなってしまいました。だからといって、リサイクルペーパーが環境に優しくないわけではありません。車でも、より燃費のいい環境に優しいハイブリッドカーが注目割れていますが、同じようにより効率よく環境に優しく作ることの出来る古紙の割合の再生紙を使えばいいのです。再生紙を作るときにも二酸化炭素を出してしまう、新しい紙を作れば森林伐採が進みさらに二酸化炭素も排出してしまうということはわかっているのですから、できるだけ無駄な紙を使わず必要な分だけを必要に応じて使うようにしていけばいいんですよね。
身近にある紙を使って、誰でも簡単に”再生紙”を作ることが出来ます。”再生紙”の偽装などが大きな社会問題になっていますが、自分で使う分を自分で作れば正真正銘100%エコ再生紙ができます。
大き目の平たい洗面器・紙(コーティングされていないもの。広告などを使う場合には、色が薄めのものがおすすめ)・せんたくのり・ミキサー(無ければ深めの容器)・木枠・アミ・ナイロンのネット1枚・アイロン・ハンカチ・新聞紙
木枠はハガキや便箋など、作りたいものの大きさに合わせて2つ用意します。2つの木枠の間に目の細かい金網をはさみ、1辺をちょうつがいで止めるか、太目のゴムで挟んで完成です。ナイロンのネットは、金網と同じく目の細かいものを作りたい紙の大きさに合わせてカットしておきます。
用意した紙を手でちぎります。出来るだけ小さめにちぎりましょう。ミキサーを使わない場合はより小さくちぎっておくのがポイントです。はがきだったら、はがき1~2枚分の大きさの紙の量を目安にしてください。
ちぎった紙は、ミキサーか深めの容器にいれます。ミキサーもしくは容器の6割ほどまで水を入れ、紙をよく浸して3~5分程度つけておきます。この間に、次に作る分の紙をちぎって別納容器で水に浸しておくと作業がスムーズに行えます。
紙がしんなりしたら、ミキサーでかき混ぜます。紙の繊維がばらばらになったらミキサーを止め、洗濯のりをティースプーン1杯くらい入れてもう一度軽くかき混ぜます。
のりが全体に溶けて混ざったら、アミを挟んだ木枠の中に広げるように流しいれます。この時、洗面器に水を木枠の半分くらいまで張って木枠をセットしておき、木枠をゆすりながら流しいれるのがコツです。
流し込んだ液体の厚さが均等になったら、ゆっくりと木枠を持ち上げて水を切ります。圧程度洗面器の上で水気を切ったら、新聞紙の上にのせてさらによく水を切ります。水を切っている間に、次の紙をミキサーにかけておくのがポイントです。
水が切れたら上からナイロンのネットをのせて、木枠からアミごとはずします。アイロン台の上に金網が下になるように置いたらナイロンネットの上からハンカチをあて、中温でアイロンをかけます。
ある程度アイロンをかけたら、ひっくり返して金網をゆっくりとはずし、上からハンカチをかぶせてアイロンをかけます。ハンカチが乾くくらいまでアイロンをかけたら熱と蒸気を逃がして完成です。冷ますときに、雑誌や本の間に挟んでおくと綺麗に仕上がります。