近年、温暖化によって地球全体の平均気温が上がり、北極を覆う大量の氷が少しずつ薄く小さくなっています。
北極の氷が温暖化によって少しずつ減ることにより、白熊などの野生動物たちの生息域も狭くなっていたりもします。
ツバルでは人が住んでいる地位の多くが海に沈み始めていますが、北極の氷がすべて溶けてしまったらツバルは海に沈んでしまうのでしょうか?
北極の氷が溶けて流れ込んでも海面は上昇しません。といわれたら信じますか?
実は、北極と呼ばれる地域には、海の上に浮かんでいる氷と、グリーンランドなど陸地の上に乗っている氷の二種類があります。
ホッキョクグマやアザラシの生息地として知られている地域の多くは、氷の上に浮かぶ分厚い氷が作り出している「陸地のように見える氷山」です。この北極の氷山が崩れて海に落ちていくシーンはテレビでも目にする機会も多いのですが、これらの氷山が溶け出しても海面上昇がおこる訳ではありません。
これは、中学校の理科で習う質量保存の法則で考えてみるとその仕組みがわかります。
質量保存の法則というのをご存知でしょうか?
まずはじめに質量保存の法則を理解するために簡単な説明を行いましょう。
冷凍庫で容器に入れた水を凍らせると破裂することがあります。これは水が氷になると体積が1/11程度増えるためです。また、氷は水の上に浮かせると1/11程度頭を出します。これは氷と水の同じ体積における質量の差により水の浮力がかかりその分だけ浮き上がります。
このときに同一の質量の「氷が溶けてできた水の体積」=「水の体積」となることがわかります。
質量保存の法則とは「物体の形が変わってもその質量は変化しない」という自然界の法則です。
質量保存の法則で説明すると凍っている氷とその氷が溶けてできた水の質量は変わりません。
この法則をふまえると
北極海の上に浮く氷も北極の全ての氷が溶けて海水になったとしても、海水と氷の質量は変わらないことになり、北極の氷が水になることによる海面上昇は起こらないことになります。
ただし、氷が解けるということは気温が上がり多くの氷が溶け海水になっています。溶けた海水は温度が高くなることで膨張しますので溶けた分の水が余計に膨張することになり、この水の膨張は若干ですが海面上昇の一つの要因になります。
また氷が溶ける事により地球の表面の色は濃くなります。濃くなるということはどういうことか?これは地球の熱吸収率が上がることを意味し地球温暖化の原因となります。
北極の氷は大丈夫なことがわかったのですが南極や山脈・陸地の氷など海水には触れていない陸上の氷が溶けて海に流れ込むと、海水の量自体が変化することになるため、海水量が増え海水面も上昇することになります。
北極海の広範囲を覆っている氷の多くは、グリーンランドの陸地の上に出来た氷の塊「氷床」が夏に溶けて流れ出したものが、氷河となり海の上を漂う氷山になったものです。
この氷河は何百年も前から少しずつは溶け出していますが、冬になれば溶け出した分と同じくらいの量の水分が氷床の上に降り積もり、極端に溶け出すことはありませんでした。そのため、海水の塩分濃度も水面もほぼ一定を保っていました。そのため、海面に浮かぶ氷が溶けても海面上昇は起こりませんが、南極大陸の氷が冬(南半球)になって溶け出したり、グリーンランドや高い山脈の上の氷が大量に溶けだすと海面上昇が起こります。
2000年以降、グリーンランドなどの陸地に存在している氷床が溶け出すスピードはどんどん速くなっています。氷が溶けた水は、淡水ですから海水と混ざると海の塩分濃度が低くなりますよね。このことで、地球の気温調節機能である海流の循環が滞ることになります。海流が赤道周辺の熱を北半球に運び、熱を奪われた海水が冷やされて赤道へ戻る。この循環機能が崩れると、日本を含めヨーロッパやアメリカなど、北半球の多くの地域が極寒の地域になる可能性もあります。日本も海面上昇によって沈むのでは? と沈む地域の予測やシミュレーションが行われていますが、沈むより先に凍り付いてしまうかもしれません。この話、どこかで聞いたことありませんか? 映画デイ・アフター・トゥモローが現実になる日が、近い将来来るかもしれないんです。
海抜の低いツバルなどの地域では、すでに海面水位が上昇することによって水没した陸地が増えています。このまま温暖化による海面上昇が進んでいけば、ツバルという国自体が海の底になってしまうのも時間の問題です。そのため、ツバルの住民は毎年数十人ずつニュージーランドへ移住しています。しかし、ツバルよりも海抜の低い地域が日本には何箇所もあるのです。また他にも、数年後、数十年後には悔没してしまうと予測されているのは、マーシャル諸島、モルディブ、ベネツィアなどの国や地域です。歴史的な建造物や美しい自然、景色が見られる人気の観光地も多くありますが、海に沈んでしまったらもう訪れる事もできません。遠い国の出来事ではなく、私たちの身近で起こっている地球の非常事態だということを認識し、一人ひとりが対策を考えていくことが重要だということがわかりますよね。