屋上や中庭などの小さなスペースに作られた緑地にも、森林と同じように周辺の温度を下げる効果があります。
コンクリートやアスファルトは熱を吸収し溜め込んでなかなか発散しないという性質があります。このため、コンクリやアスファルトに囲まれた都市部ではヒートアイランド現象が起こってしまいます。
1平方メートルの小さな緑地でも、植物が生育している緑地があれば、10~30度以上も温度を下げる効果がある場合も多いのです。
環境対策に敏感に反応するため、屋上庭園のようなスペースがあると沢山の人の関心が集まります。
環境や温暖化に対する配慮を行っているということで、商業施設などでは集客力になりますし、居住施設では菜園や憩いの場など幅広い可能性があるスペースは魅力的です。
最近の研究では、ビルや建物の周辺で脳が感じるストレスは、緑地でリラックスすることでかなり解消することが出来るのだそうです。
商業や居住用のビルの屋上は意外と有効利用されていない空間です。
この空間に樹木や植物を植えられるように、緑化対策を行うと、炭素の吸収源を有効に増やすことが出来ます。そこで、温暖化対策の一環として、ビルの屋上に緑化のための工事やリフォームを行う場合に、自治体や国から助成金が出るというシステムがあります。
これから建設される建物にも、始めから緑化計画が入っている場合には助成金の対象になる事もあります。
屋上に緑化スペースを作るつもりで設計した場合には、建物の防水対策や耐久性なども考慮されます。
しかし、植物を植えるつもりが無かった建物の場合、植物の根による侵食や防水を施していない部分から水による劣化が進行するといった問題点があります。これは、屋上だけでなく、ベランダやバルコニーなど、コンクリートや木で出来た建物全般に起こりうることです。こういった問題をおこさず上手に緑化スペースを作るには、リフォームや建築の業者と相談することが大切です。
手作りする場合でも、しっかりと防水対策を行い、適した土や植物を選ぶことで問題なく作る事もできます。
屋上緑化の魅力の一つに、身近に小さな生態系を作ることが出来るということがあります。季節の移り変わりや自然の風景を身近に感じることが出来ますので、自分の好きな植物を植えるのもお勧めです。
大きな樹木は屋上で育成するのは難しいですが、小ぶりの木なら紅葉を見る事もできます。こうして植えた植物から枝や葉などが枯れて地面に落ちると蓄えられた炭素や有機物が分解されて周辺の土壌に栄誉分としてしみ込みます。
この植物のサイクルを利用して、屋上で生ゴミを堆肥に出来るコンポストを設置したり、サツマイモやトマトなどの野菜を育てるのもいいですよね。