私たち人間を含めた地球上の生き物・有機物のことをバイオマスといいます。
エネルギーを生み出すことが出来るすべての有機体は、バイオマスエネルギーを生み出す可能性をもっているのです。
大豆やトウモロコシなどの穀物やウッドチップ、落ち葉など簡単に確保できるのが、バイオマス資源の利点の一つでもあります。有機物はもともと地球上で自然に分解・吸収・放出を繰り返して循環しています。そのため、バイオマスエネルギーによって排出される二酸化炭素は、同量の二酸化炭素を光合成できる吸収源を確保することで、プラスマイナスゼロにすることが出来るというのが、バイオ燃料の理想のメカニズムです。
しかし、このメカニズムの中には、実際に有機物からエネルギー資源となるエタノールを取り出す、メタンガスを取り出す、などの過程で生まれる二酸化炭素が考慮されていないなどの問題点があります。
家畜や人の糞尿は、蓄積するとメタンガスを生み出します。メタンは二酸化炭素よりも高い温室効果があるため、大気中に放出してしまうと温暖化を進行させる原因になってしまいます。
しかし、引火しやすい性質のメタンガスはバイオ燃料として燃焼して利用すると、大気中に出るのはメタンより温室効果の少ない二酸化炭素と水になります。
この二酸化炭素は、二酸化炭素は、植物が光合成を行い植物の体内に炭素固定して、酸素を排出するメカニズムで使われます。そのため、バイオ燃料として利用することでメタンを放出するより温暖化を防ぐことができるのです。
家畜の糞尿の処理方法にも決まりや施設の規制がありますが、先進国ではそのまま野積みにされていて大量野メタンガスを放出しているところが多いのが現状です。
しかし、糞尿の処理施設に、メタンガスを有効利用するための設備を作ることで、メタンガスで発電機を動かす発電システムを作ることが出来ます。
このシステムを、京都議定書で温室効果ガスの削減対象となっている国が、資金や技術を提供して設置すれば排出権を得る事もできるため、先進国にとっても大きなビジネスチャンスになっているのです。
生物資源エタノールとも言われる、環境循環型のバイオマスエネルギーの一つです。アメリカが積極的に開発・利用を推進しているバイオエタノールは、小麦やトウモロコシなどの穀物を原料としたものが多く見られます。
日本では、温暖化対策と食糧危機対策を考慮して、食料資源として利用されない有機物からのバイオエタノールの開発や、ごみを燃料とするエネルギー資源の研究が進んでいます。
バイオエタノールというと、トウモロコシや小麦が有名ですが、海草や麦わら、泥炭など様々な有機物を原料とすることが出来るのです。
バイオ燃料の中でも、アメリカが率先して進めているのが穀物からエタノール燃料を取り出す、バイオ燃料プロジェクトです。温暖化対策の一環として大豆やトウモロコシを使ったバイオエタノール燃料が注目されています。
アメリカは京都議定書の署名に参加していません。そのかわりに、独自の温暖化対策として打ち出したのが、バイオエタノールの開発生産プロジェクトなのです。
しかし、バイオエタノールの原料となるサトウキビ・トウモロコシ・小麦などは私たちの食料源でもあり、家畜の飼料にもなっています。そのため、バイオエタノール資源として大量の穀物が取引されるようになり、食料の値段が急上昇しました。
このバイオエタノール燃料を作るためにさらに巨大な農作地が切り開かれていますが、温暖化をストップするための次世代エネルギーが、温暖化を促進させる結果になってしまっては意味がありませんよね。そのため、バイオエタノールに対してしっかりとした方針や指針を定めることが重要だと指摘する声が高まっています。