実際に温暖化対策を進めていかなければいけないのは事実ですが、日本が温暖化対策に対する計画と実行が遅れていけば、環境先進国にはなれません。
日本という国のあり方を左右する効力を持てるこの法律にはどんな仕組みと問題点があるのでしょうか?
地球温暖化対策推進法は、1998年に京都議定書の内容を確実に遂行するために作られた日本国内の法律です。
京都議定書は、1997年に京都で行われたCOP3(京都議会)で決められた内容を2002年のCOP7で合意文書として発効され世界各国で遂行していく温暖化対策です。その中で決められた日本の目標を確実に達成するために、国と個人、企業が一体となり社会全体の見直しと温暖化対策を計画・実行するという内容が温暖化対策推進法に盛り込まれています。
京都議定書制定後から、減らさなければならない温室効果ガスの排出量が7%以上も増加していることに対し、悪質な事業所の名前を公表したり削減量の目標値を設定するだけでなく「削減目標を達成することを義務化する」といった温暖化対策推進法の改定案が提出されました。
しかし、近年増えている大規模な複合商業ビルや産業・経済の悪化を懸念した産業団体・ビル団体などから強い反発を受けより厳しい規定に変更する改定法は制定されていません。
加速し続ける地球温暖化の防止と早急な対策を実行するためには、国・地方自治体・地域社会・事業者・個人のそれぞれに適した責任と役割分担を定めていくことが重要です。
そのため原油換算で1500kL/年もしくは電力換算600万kw/年以上消費している商業施設や事業所などに温室効果ガスの排出量を国に報告することを義務づけています。
その報告地は集計され、「排出量が増加している」「減少量が達成できていない」場合には、対策や指標を国が指導して改善していくという仕組みになっています。
現在温室効果ガスの排出量を報告することが義務付けられているのは、ある程度の規模がある事業所などだけで、個人や排出量の少ない事業所などには報告の義務はありません。また、報告や改善、目標値は、各事業所が独自に定めるもので達成しなければならない義務や国からの強制力がないため、達成できなかったとしても罰則や規制が行われるわけではありません。
そのため、温室効果ガスの排出量を減らすことが出来ず反対に増えてしまう結果になっているのが大きいな問題定義になっています。
この法律を温暖化対策として効果的なものにするためには、個人・団体に対しての責任や排出量を減らす数値の強制や義務化を行う必要があるといえます。
温室効果ガスの排出量を減らし、温暖化対策を効果的に進めるために作られて法律ですが、経済状況を圧迫するとして経済界、産業界などから強い反発を受けているのが現状です。この産業・経済発展継続社会は20世紀初頭のスタイルで、温暖化が悪化し始めた当時のものです。
21世紀になった今、社会のあり方を産業・経済優先型ではなく、環境持続社会・低炭素社会に変換していく必要があるといわれています。
京都会議の議長国である日本が、国内で作った温暖化対策推進法という法律を世界に誇れるより効果的なものにするためにも、一人ひとりが考え方を改めていく必要があるといえます。