他の国に比べ人口密度が高く、CO2の排出量も多い日本ですが、全体面積の60%程度が森林であるという、緑の多い国でもあります。そのため、林業が盛んに行われている地域も多くあります。
しかし、経済成長期には木材に適したスギやヒノキなどの針葉樹のみを植樹した山も多く、日本の昔ながらの里山は少なくなっています。
温暖化対策として様々な種類の樹木の植樹と里山の復活が推進されていますが、木材に適した森林と里山の森林にはどのような違いがあるのでしょうか?
植物の光合成を行い、二酸化炭素を吸収して酸素を排出します。この仕組みは、小学校や中学校の理科でもおそわりますよね。
植物が二酸化炭素を取り込んで光合成を行うとき、植物の体内には、炭素が蓄えられていきます。こうして二酸化炭素を吸収し炭素を蓄えることから、森林は温室効果ガスの吸収源としても重要な役割りを持っています。
また、森林には、気候変動から土砂の流出を守り、河川や海への水質汚染を防ぐという役割りもあります。これは森林が周辺環境の生態系を作り出すベースにもなっています。そのため、温暖化の進行を食い止めるためにも、自然の生態系を保ったより多くの森林を守り、育てる必要があるのです。
温室効果ガスを体内にためておくことの出来る植物は、枯れて分解ししまうと蓄えられた炭素も大気中に放出されてしまいます。そのため、より長い期間炭素を固定できる樹木を植え、周囲の環境に生態系を作ることでより長いスパンでの炭素固定が可能、温暖化対策に効果的な森を作ることが出来ます。
しかし、この炭素固定率は植樹される地域環境や気候によっても生育状態が違ってきます。日本では樹齢の長い樹木でも、乾燥地帯や森林伐採の植樹を行ったときに風土が合わなくて枯れてしまっては意味がありません。そのため、地域環境に適した樹木がより自然に近い形で生育できる森林を創ることで、より効率よく炭素の吸収・固定を行える森林を育てることが出来るといえます。
森林伐採の跡地や荒廃して土壌の力が弱まって使われなくなった農作地、砂漠化が進む乾燥地帯の緑化活動として世界中で植樹活動が行われています。
こういった国や地域には、日本からも様々な植物の種や種苗を植える活動が行われています。そのため「日本国内での植樹活動や個人的に植樹を行うのは難しいのでは…?」と思う人も多いようですがそんなことはありません。日本国内では、異常気象などによる土砂崩れや道路整備・住宅地の開発などでなくなってしまった森林や里山が多くあります。これらの地域でも、豊かな生態系をはぐくむことの出来る森を作るための植樹活動が行われています。また、個人の庭先や小さなプランターでも立派な生態系を持った小さな森を作ることが出来るんですよ。
植樹をしたいと思ったら、ボランティアに参加するという方法もあります。記念植樹のイベントなどもありますし、温暖化対策の一環として様々な企業やボランティア団体が世界各地で植林のボランティア活動を行っています。
最近では、炭素固定率、生態系保持の能力の高さなどから、日本の昔ながらの里山が見直されていて、里山を作るプロジェクトなどもあります。また、野菜や果物の種など、普段の生活の中では捨ててしまうような種や近くの公園で拾った木の実などを乾燥させてドロ団子にして固め、乾燥地域や砂漠化が進む国に送るというボランティア活動もあります。
誰でも簡単に出来るものも沢山ありますので、ぜひ色々な活動にチャレンジしてみてくださいね。