車の窓やアスファルトの上にうっすらと黄色い粉が積もっているのを見かけたことはありませんか?
黄色い砂で空一面が黄色くかすんで見える事もありますよね。春の風物詩ともいえる黄色い砂の砂は、海を越えて大陸から日本へとやってきます。
「黄砂は中国からくる」という話をどこかで聞いたことがある人も多いことでしょう。確かに中国は日本に近い国ですが、日本の黄砂がもともとあったのは中国からモンゴルに広がるゴビ砂漠やという広大な砂漠地帯です。
ゴビ砂漠やタクラマカン砂漠は他野砂漠より平均気温が高いのが特徴で、いったん巻き上げられた砂は、重いものから順に近い距離に落下します。上空まで巻き上げられた細かい砂の中でもさらに粒子の細かい砂粒は、日本に到達する頃弱まった偏西風と重力によって地上に舞い降りてきます、中には日本列島を横断して、海に到達する砂もあるんですよ。
日本にたどり着くことが出来るのは、砂の中でも直径がミュウという単位になるほど細かいもので、砂の埃のようなものです。そのため、長い間、もしくは大量に吸い込むことで気管支にダメージを与えたり、喘息の原因になってしまう場合もあります。
また、中国や韓国上空を通過してくるため、都市や工場地帯で排出された酸性物質や公害物質がしみ込んでしまっているといわれています。黄砂に含まれて運ばれる物質の中には、日本国内では規制されているものもあります。
こういった公害物質を含んだ砂は、雨などに混じって土壌にもしみ込んでしまうため、防ぐことが難しい越境汚染としても問題になっています。
中国や韓国から上空の有害物質を運んできてしまうことで、環境にも様々な影響があります。しかし、日本上空で酸性雨の原因となる物質も吸収してくれるため、酸性雨を防いでくれる効果があるのではないかという説もあります。
交差がもたらす影響については、様々な研究が続けられていますが、人体に吸い込まれた場合の影響としてはあまり良いことはありません。特に喘息の症状を悪化させてしまう場合や、洗濯物に付着して付着した公害物質によってアレルギー反応が出る場合もあります。
ちょっとした隙間からも室内に入ってくることがあるため、室内では空気清浄機などを活用して対策をとるのがお勧めです。
気候条件によって飛んでくる砂塵の量や時期、場所は変化します。近年では、温暖化と乾燥地帯の拡大によって、日本に飛来する砂の量は年々増えているといわれています。そのため、気象庁では、毎年年間を通じて飛来する黄砂の量や降る量・場所などを観測しています。量が多くなると、健康や生活面だけでなく、農業などにも影響が出る場合があるため、パソコンや携帯から黄砂情報を知ることが出来るサービスが気象庁で行われています。
頻繁に降る季節になると、テレビなどの天気予報でも紹介されることが増えています。こういった情報を利用して、強い偏西風で黄砂が飛散する可能性が高い日には、洗濯や布団を干すのを避けたり、マスクをつけるなどして吸い込まないようにするのがポイントです。
時期で花粉と黄砂を見分けることはできません。黄砂が偏西風に乗って日本上空にやってくるのは、1 ~8月が最も多く、スギやヒノキ花粉の飛散期間ともかぶっています。しかし、気候条件がそろえば、季節に関係なく砂は存在していますから、一年中いつでも降ってくる可能性があります。
また、花粉もスギやヒノキ花粉の時期が最も騒がれる時期ですが、栗や稲など様々な植物の花粉が春~秋にかけて跳び続けています。そのため、夏だから黄砂、秋だから花粉、などと時期だけで見分けることは出来ません。
花粉は植物の一部ですから、生きています。そのため、砂とは違い時間とともに変色することがあります。窓などに付いた黄色の粉を拭き取り、時間がたってから見たときに茶色や黒ずんでいたら、花粉だということがわかります。
また、砂も花粉も水を吸い込みますが、花粉の方がより粘り気をおびます。そのため、手でさわって見るとべとついたり粘り気があったら花粉だと思っていいでしょう。