地球温暖化が原因で絶滅の危機に瀕している野生動物といえば、真っ先に白熊を思い浮かべる人も多いと思います。
地球が暖かくなるのは、太陽の活動の影響もありますが、人間の生活が大きな要因になっていることは間違いありません。
温暖化の影響を受けやすい北極や南極の野生動物たちは、どんな状態で過ごしているのでしょうか。
北極にしか住んでいないホッキョクグマは、極寒の地域で暮していくための高機能システムを身につけています。それはあの真っ白な毛皮。一本一本の毛は中が空洞になっていて、その空気は体温によって温められています。この温かい空気をまとった毛皮のおかげで、白熊の身体の周りは熱を逃がしにくく温かく保たれているのです。そのため、地球温暖化で気温が上がり続けていると、熱を溜め込むシステムがアダとなり、体温が上がりすぎてしまうのです。
また、温暖化の影響で流氷は薄く割れやすい場所が増えたため、アザラシがいる所までたどりつけず、餓えてしんでしまう白熊や小熊が増えています。
仔犬のような可愛らしい顔のアザラシは、南極と北極どちらにも生息しています。
北極に生息しているキタアザラシは、秋から冬にかけて繁殖期になると流氷に乗って日本の北海道付近まで南下してきます。天敵に襲われにくい流氷の上で子育てを行いながら春になると北上して再び北極へ戻ります。
北極へ戻る頃には、仔アザラシも独り立ちできるほど成長しているため、次の冬には自分の親と同じように流氷の上で子育てを行いながら北海道までやってきます。
しかし、地球全体の気温が上昇し、流氷の厚さが十分でなくなってきているため、子育て途中で子供が海水に落ちそのまま流されてしまうケースが急増しています。
大きな牙と人間よりも大きな巨体を持つセイウチも、アザラシと同じように流氷の上で生息しています。北極に群れを作って生息していますが、子育ては流氷の上で行いアザラシと同じように北海道付近まで南下して来る姿を見ることができます。
しかし、温暖化によって流氷が薄くなってしまうと、アザラシより体が大きく体重のあるセイウチの子供は海に落ちてしまうケースが増えており、生息数が減ってきているといわれています。
また、温暖化によってエサを取れなくなった白熊がセイウチを捕らえようとする場面も増えていますが、ホッキョクグマがセイウチを仕留められることは少なく、反対に白熊が大きなダメージを受けることの方が多いようです。
ペンギンは北極にはいない極地の野生動物です。他の大陸と陸続きになっていない南極では天敵も少なく、様々な種類のペンギンたちが生息していましたが、人間の乱獲によって絶滅したり数が極端に少なくなってしまったものもいます。
最近では温暖化の影響で、南極やペンギンの生息地域であるオーストラリアやニュージーランドの気候が変化しています。これによって今までなかった病気などが発生し、抗体を持たないペンギンに大きなダメージを与えています。
また、人間の出したゴミなどが南極を始めとするペンギンの生息域に大量に溜まっています。これらのゴミによって首や脚が挟まったりからまったりしてしんでしまうペンギンも増えているのです。
南極に限らず広い範囲を移動して生息しているクジラたちですが、餌となるオキアミを追いかけて栄養豊富な南極海周辺を回遊している姿が見られます。
回遊パターンのなかで、夏になると流氷を追って移動する行動も見られることがわかっていますが、基本的には特定の餌場を数箇所もっているといわれています。
クジラが回遊する南極付近には天敵となるサメはあまり生息しておらず、天敵はシャチのみでしたが、近年の温暖化の影響でサメの生息範囲が南極海付近までも広がってきたようです。
クジラ自体は適応できる水温の幅が広く、海水温度は上昇してもあまり影響を受けませんが、天敵が増えることで捕食される数が増えると、数が激減する恐れがあります。