一人ひとりが、自分の住んでいる地域や国の環境を守り維持していくことが温暖化防止には欠かせないものです。
そのために必要な経費や適切な処理費用を地方や国で徴収する税金です。
何に使われる皮から内税金を取られるのは嫌ですが、温暖化防止のための吸収源を増やしたり、ゴミや温室効果ガスの排出量を減らすように、個人や事業所の意識を変えていくという目的のある税金なら、進んで導入するのが先進国のあるべき姿ともいえますよね。
一般的には、温暖化を促進させる要因となる二酸化炭素やメタンなど炭素を含む温室効果ガスの排出量やそれらを排出するエネルギー使用量などに課税し、排出量を減らして対策費用を捻出する制度のことです。そのため、炭素税=環境税というイメージが広がっているようですが、広い意味では、環境保全の為に使われることを目的として、環境汚染や温暖化に関するものに課税されるものをさします。
2008年の段階ではまだ日本に炭素税の導入はありませんが、環境先進国と呼ばれるフィンランドやノルウェー、デンマークなどEU諸国では、すでに色々な環境税が導入され、低炭素社会への切り替え整備が進んでいます。
環境保護や温暖化防止を目的とした環境税には、課金・規制の仕組みにいくつかの種類があります。
排出した規制対象物質の量に応じて排出者のみから徴収する課徴金制度。
リサイクル可能な物質に始めから税金分を上乗せしておきリサイクルとして回収する際に上乗せ分を返金するデポジット制度。
温暖化防止や環境汚染の対策を目的とした投資に対して一定の金額を国が支払う補助金制度。
汚染物質や温室効果ガスを出すものを所持している場合や使用する場合などにかけられる税金制度があります。
また、京都議定書で定められた排出権取引にのっとり、企業での温室効果ガスの排出量を排出権として取引する排出権制度もあります。
最近特に日本での導入について話題が挙がっている環境税が、炭素税です。環境先進国などではすでに、企業や個人の炭素の排出量に応じて課金される課徴制度として取り入れられています。
日本でも早期導入を目指していますが、経済的な問題などで反発する団体も多く、東京都などの自治体が独自に炭素税と同様の環境税を取り入れるケースも出てきています。
森林の維持や保全の為に自治体ごとに定めている税金に、森林税というものがあります。
森林を多く所有する、福岡、高知、大分、長崎、宮崎、やまがたなどの県で地方環境税として導入、もしくは導入が検討されています。
自治体が管理している森林に使用される地方税のため、住民税などと同じように個人や事業所ごとに徴収される税金制度として導入されることが多いようです。
リサイクルや産業廃棄物の処理を、適切でより効果的な方法で行うための財源として課金されるものです。
環境先進国のでは、個人消費者がリサイクルしやすいように、スーパーなどと提携してほとんどすべての容器に税金を上乗せしておく、デポジット制度を利用している国もあります。
また、企業や個人の出すゴミの量によって金額が決められる課徴金制度と複数の課金制度など、複数の制度を多用することで消費とゴミの量を押さえリサイクルを促進する効果があります。
温室効果ガスには様々な形で炭素が含まれています。温暖化が進む現在の地球は、炭素のバランスが著しく崩れてしまっているため、温暖化を加速させる悪循環をおこしているのです。そこで、炭素を放出する温室効果ガスに含まれる炭素の量、エネルギーを使用した時の炭素排出量にたいして課税するというものです。
「炭素税」と呼ばれるのは、こういった課税の仕組みがあるからです。この課税により、使用量・排出量を抑える目的と温室効果ガスの吸収源となる森林や魚つき林などの整備や環境対策の促進に利用するといった目的があります。
海外の環境先進国では、炭素税を含めた環境税の導入に積極的です。しかし、日本国内では環境税の導入を検討している環境省に対して、経団連などが強い反発をしています。
高エネルギー消費型社会の日本で、エネルギーの使用規制や排出規制がかかると、電気エネルギーの使用量も制限されるため、経済面にも影響が出ます。店舗の営業時間が短くなったり、工場の稼働時間が短くなったりする可能性も高く、雇用問題にも発展する可能性もあり、炭素税の導入が進まないのは、高エネルギー消費型の社会やライフサイクルに問題点があると考えられています。