私たちが暮す地球上には様々な生き物が住んでいます。一つの種だけが単独で生存しているわけではなく、様々な種類の生き物と生き物が利用する環境がつながりを持ってはじめて成り立っているのです。
このつながりが成り立たなくなってしまい壊れてしまうことが、生態系破壊の原因であり要因になるということなのです。
生態系とは、そこに生息する生物の食物連鎖と周辺の森林・土壌・海・川などの環境、気候がバランスを取り合っている状態のことを言います。
たとえば、田んぼやため池などに、小さな生き物やプランクトンが生息し、それを食べる大きな生き物も生息します。生き物の排泄物や日光を利用して植物が育ち、動物の住処ができ、植物をエサとする生き物も生息することが出来ます。植物を食べる生き物は、食物連鎖によって植物を食べつくさない数を保っています。
こういった環境と生物の生息・繁殖のバランスが出来ている所は、小さな水溜りや植木鉢の中でも一つの生態系といえます。もちろん、人間を含めた地球全体でも一つの生態系ともいえますよね。
様々な生き物と環境条件が作り出す生態系は、北極のように寒い場所と環境や生息する生き物が違えば、そこには独自の生態系が作られているということになります。
その生態系の中ではゆっくりとした生物の進化や環境の変化が起こっていて、安定した状態を保ちながら変わっていくのは自然に起こる生態系が持つ機能の一つです。
しかし、人間の生活や産業活動によって外来種生物が意図的に導入されて、もともといた種が消えてしまったり、故意でなくても人為的な行為が大きな影響を与え生態系がバランスを失ってしまうことが多いのです。
森林では様々な生物が複雑で微妙な関係を保って生態系を作り出しています。生態系自身が生き物のように、環境の変化に合わせて自ら安定化を図っています。しかし、森林伐採木々を支えにしていた動物や昆虫たちは住処を追われます。
また、「魚付き林」と呼ばれる河川の栄養源になる森林がなくなり地盤が緩むと河川は氾濫しやすくなり、水中の生態系をも破壊してしまうことになります。
また、森林は温室効果ガスを中和する大きな役割りをもっているため、伐採によって温暖化が進むことになります。
このまま温暖化が進めば、温かい地域にしか生息しなかった昆虫が寒い地域に生息するようになり、寒い地域でしか生きられない生き物は消えてしまうという可能性も高いのです。
工場排水や下水道の整備遅れによって河川に生活排水が流されると、自然の浄化システムでは川の底や土手をコンクリで固めて整備するなど、人為的な工事によって自然の浄化システムが働かなくなります。また、道路整備や木材調達のために山を削り森林伐採を行うことで、弱くなった地盤が大雨によって簡単に崩れてしまうシーンをよく見かけます。
これは異常気象と人為的な環境汚染が重なった結果といえます。さらに深刻な生態系破壊につながっているのは、温室効果ガスを含む産業排出物や車の排気ガス、ごみ焼却時にでる煤煙による大気汚染です。大気汚染は、温暖化や空気を汚すだけでなく雨に溶け込んで水や土壌も汚染してしまうため、森林や河川・海にも大きなダメージを与えているのです。
私たちの身の回りで見かけることの多い、タンポポやミツバチ、ブルーバス、緑カメなど、これらは全て日本の生態系には存在しなかった外来種です。島国でありながら独自の生態系を保護する対策をみんなの危機感が薄かった事もあり、外来種が大量に生息し従来種の多くが絶滅してしまいました。
例えば、ペットショップなどで販売されているカメやメダカを飼いきれなくなって池や川に放してしまうことは、外来種を自然の生態系の中に入れてしまうことになるんです。生き物を飼うときは、最後まで責任を持って飼うことが在来種の保護に繋がります。
日本は海外から年間8834万立方メートル分もの木材を輸入しています。国土の半分以上が森林で覆われているにも関わらず、日本産出できる木材は年間 3000万立方メートル程度ですから、三倍近い量の森林が日本の木材のために伐採されていることになります。
なにげなく使っている紙や使い捨て製品を減らすことで、必要最小限の木材分だけを供給するようになれば、他の国の環境と生態系破壊を食い止めることが出来ます。ゴミの分別や、ものを大切に長く使うエコロジー活動は、誰にでも出来る生態系破壊を防ぐ方法なのです。