世界中のあちこちで、乱獲や、環境汚染、宅地や産業地域の開発などによって住処を失った多くの生物が消えていきました。
現在、絶滅危惧種に指定されている種に対する保護や対策がとられています。しかし、地球の急激な温暖化によって住む場所や食べ物を失い、地球上から姿を消してしまう可能性の高い動植物が沢山います。
地球上の生物の中で、絶滅するおそれのある種を絶滅危惧種といいます。また、現在までに絶滅してしまった生物を絶滅種といいますが、人工的に保護されていても野生には存在しなくなった種も絶滅種として分類されています。
そのため、レッドリスト指定されるとワシントン条約での国際取引が禁止されたり、規制されます。
[CR 絶滅危惧ⅠA類]
ごくごく近い将来、絶滅する可能性が極めて高い。
[EW 野生絶滅]
人間の飼育・栽培によってのみ存在している。
[CR 絶滅危惧ⅠA類]
ごくごく近い将来、絶滅する可能性が極めて高い。
[EN 絶滅危惧ⅠB類]
やや近い将来、絶滅する可能性が高い。
[VU 絶滅危惧Ⅱ類]
絶滅する可能性が高い。近い将来、絶滅危惧ⅠB類に指定される可能性が非常に高い種。
[NT 準絶滅危惧]
現在は危惧種に指定されていないが、近い将来環境の変化等によって危惧種となる可能性が高い種。
近年、絶滅危惧種に指定されたものの中には、絶滅の原因が温暖化による種が増えてきています。出来る限りの保護活動が進められていますが、温暖化による気候の変化はあまりにも急激に進んでいるため、保護を行っても野性には存在できなくなる可能性が高い種も多くいます。
地球上には約4500~5000種の哺乳類がいるといわれています。そのうち、150種近くがすでに絶滅したといわれています。
現在、絶滅する可能性の高いレッドリストに指定されているのは、2000種ほどいます。レッドリストに指定されると取引が規制されるほか、積極的な保護活動が行われるようになりますが、レッドリストに指定された時から保護活動が開始されても間に合わない事も多くあります。
温暖化が原因で気温が上がり、北極の氷が薄っているため、ホッキョクグマの生息域が急激に狭まっています。流氷の減少は、エサとなるアザラシの捕獲も難しくしているほか、薄くなった流氷から小熊が海水に落ちてしまうケースも増えています。
エサが取れなくなったホッキョクグマは、人が住む地域にまでエサを探して進出するようになり、人間にも危害を加えます。そのため、駆除の対象になる事もありますが、絶滅危惧種として保護しながら、人間の生活の安全性を確保するのは重大な課題になっています。
最近では、人間の居住区から立ち退かせるためにベアドッグを使った追い出し作戦が取られていますが、ホッキョクグマの生息環境がこのまま狭まれば、近い将来確実に絶滅するといわれています。
カエルやサンショウウオ・カメといった両生類は、哺乳類よりさらに深刻な状況にあります。環境の変化に非常に敏感で、その地域にしか生息できない種も多いからです。生息地域の環境が温暖化によって変化すると、食べ物が無くなったり、体温を調節や皮膚呼吸などができなくなる事もあります。
また、繁殖活動にも大きな影響が出ており、温暖化の原因となっている公害物質や酸性雨の影響で、雌雄同体・オスの雌化が現れる固体が多くなっている事も絶滅が危惧されている原因の一つです。特にカエルは、日本国内に生息している種だけでも近い将来までにかなりの種が絶滅するといわれており、研究者たちが少しずつ種の存続のための保護活動を行っています。
日本国内に生息しているサンショウウオの仲間は、19種類のうち11種類がレッドリストに指定されています。特にアベサンショウウオは、10年ほど前から絶滅危惧種に指定されていましたが、近年、レベルの高い[CR 絶滅危惧ⅠA類]に指定されました。
観光地や産業地域の開発による水質汚染・環境汚染の他、温暖化によりそれまでその地域には生息していなかった種が生息するようになります。そのため今までいなかった天敵や寄生虫などによって種の存続の危機にさらされている可能性もあります。